オフィスでカニエビ祭り

会社の東京事務所社員に「私は半分は漁師です。それでもかまいませんか？」といって入社した人が居る

その人の実家は北海道の襟裳岬で漁業権を持っている　まさに漁師なのだ

その人が年に一度北海道から蟹を贈ってくる

オフィスに届く生の蟹

「会議が終わったら皆さんで食べてください」




どうやって調理しろとｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ

去年その後の顛末は知らないのだが　今年はその教訓を踏まえて

「僕が大阪行った時に合わせて送りますから、終業後ラウンジ（大会議室）で食べましょう！もちろん調理もします！」

といったとかなんとか。


オフィスで蟹ねぇ・・・ｗ

なんて思いながらも調理器具もなにもない会社でどうやって調理するんだ？

屋上で焼くのか！？

色んな憶測が飛んでいたが　私も常務に誘われたので参加することにした


夕方少々忙しく仕事していたところ　常務がやってきた


「大変や・・・蟹足らんわ！」


一体何人に声かけたんですか常務・・・・・


「お寿司でも乾き物でもなんでもいいから買ってきてくれへん？」


私は一杯の仕事を抱えていたが　これも仕事だと思い　買い出し部隊を編成し色々と買ってきた



会議が終わり次第なし崩しにスタートされるこの蟹祭り
だが　一向に終わる気配を見せない会議にイライラリ
じーっと待ってるのも腹立たしいので　残りの仕事を片付けつつ待つこと1時間
ようやく会議が終わりテーブルに新聞紙を全面に敷き詰め　買ってきたお寿司諸々をセッティング


さぁ　蟹！蟹！

蟹！蟹！蟹！



蟹・・・・・・



あの・・・・調理・・・・・


冷凍ボイル蟹解凍しただけなんですけど？


しかもまだシャリシャリいってんですけど？


調理したものを出すって言ってたから　慌てて買いに行ったキッチン鋏も1個なんすけど？


軽く20人を超して集まった人たちは　いつまわってくるともわからないキッチン鋏を待つ

仕方ない・・・エビ食うか


エビ！エビ！


エビ・・・・・


シャリシャリどころかカチカチなんですけど？


タマゴを一杯抱いた「なんばんエビ（甘エビ）」の殻を剥きながら体温で解凍していく

手がかゆいよぅ


一向に回ってこないキッチン鋏

暇なのでひたすらエビの殻を剥いて他に人にも分け与える


「にゃんさんてお母ちゃんみたいやなー」


また言われてしまった

どこの会社へ行っても絶対言われるね　このセリフ


キンキンに冷やしていたビールもすっかりぬるくなった頃　ようやく回ってきたキッチン鋏を手にバキバキ！っと殻を剥いていく

北海道の地元民しかあまり口にすることができない「あぶら蟹」

見た目はタラバと花咲蟹の中間みたいな感じ

うん、美味しい

美味しいけど・・・・まったく食い足りないよﾏﾏﾝ


そんな頃　主催者からお詫びがあった


「今まだ実は半分の蟹しか届いてません。運送会社に手違いがありまして・・・。しかし4度の交渉の結果、急遽運送会社が百貨店で代替品を購入して届けると言わしめたので、後ほど届きますから！」


なるほど　そういうことがあったのか
それでは仕方ないね

乾き物と甘エビで酒をすすめつつ　カニの到着を待つ

待つこと30分　ようやく残りの蟹登場！

なんと立派なタラバの足が３セット！！これは太い！


カッチンカッチンやぞおい！！！！！


「ここに解凍方法書いてあるからね」


そういいながら私に紙を手渡す主催者

(　ﾟдﾟ)

(つд⊂)ｺﾞｼｺﾞｼ

(；ﾟдﾟ)

(つд⊂)ｺﾞｼｺﾞｼ
　　_, ._
（；ﾟ Дﾟ） …？!




ワシがやるんかい！！！！！！！！！！！！！

ヽ(∴｀┏Д┓´)ﾉ彡☆ｺﾗｰｯ!


集まった人たちはそこそこアルコールが入り　もうダレも殻を剥く気なんてなさそうでね

仕方なくわたしゃやりましたよ

えぇやりましたとも！！


毎年正月になると親父が山盛りの蟹を買って来るので　一応さばくのには慣れている

たとえ出刃包丁がなくても　キッチン鋏1本でも・・・・やってやろうじゃないか！


意地になった私は直径5cmはあろうかというタラバ蟹の足を片っ端から解体し

しかもご丁寧にすべての身を中から出してやった


額に汗し　最後の蟹を殻から外して振り向くと

何回かに分けてテーブルに乗せたはずの蟹が見当たらない

(　ﾟдﾟ)

(つд⊂)ｺﾞｼｺﾞｼ

(；ﾟдﾟ)

(つд⊂)ｺﾞｼｺﾞｼ
　　_, ._
（；ﾟ Дﾟ） …？!

(つд⊂)ｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼ

(　　д　)

(；　Д　) !!


この日一番の功労者に少しでも残しといてやろう

という気はなかったのかハゲタカども！！！！！！

きーーーーーっヾ(*｀Д´*)ﾉ"彡☆



すっかりやさぐれてしまった私は　残っていた甘エビを全部食ってやった　ざまぁみろ


だが　私の直属の上司は見ていてくれたのか　こっそりおまけで付いてきたサンマ2尾を持たせてくれた


サンマ・・・


既にぐったりしたサンマだったけど　まぁいいかｗ


翌日　たいそう申し訳ない顔をしながら常務が近づいてきて

「昨日は本当にごめんね　ありがとう」

と何度も何度もただの派遣社員の私に頭を下げた


その日はずいぶんあちこちの部署から　私の蟹さばき伝説がささやかれたのは言うまでもない


もう2度と参加しないけどな！！！